なんちゃって"技術系与太話サイト
Author: あのー( ̄△ ̄;2010-05-14
WebそしてXML イベント久しぶりに外へ出ようと、夜の六本木まで出かけてきたですよ。Opera Softwareが「Tomorrow’s Web Today」というイベントを開催。HTML5やCSS3に思いを馳せる今日この頃、気になるイベントだったのは間違いないです。
会は3部構成。最初に壇にあがったのはOpera CTOのHåkon Wium Lie氏。最初のCSSの執筆者として有名ではあるが、話を聞くのはこれが初めて。話題の趣旨は「There's only one web. We must take good care of it and work together.(Webは一つしかない、だからよく動くよう協力しなくてはならない)」。
Håkon氏のプレゼンは例のOperaShowを使って行われた。OperaShowはOpera特有の技術でHTMLとCSSで書かれたドキュメントをPowerPointのようにスライドとしてみせるためのものだ。Opera特有とはいえ、何の独自拡張もない。CSSのページ機能を使ってHTMLを書き、F11キーを押すだけだ。
そんなHåkon氏はOpera以前に、CRENのTim, Berners-Lee氏とともに仕事をしていたのだそうだ。Tim氏の生み出したWebとHTMLは、シンプルでかつ意味についての情報を持つとても美しい技術であったという。Timの仕事場には水道管の太さの異なるパイプが6本通っており、これがH1〜H6要素の発送のヒントになったそうだ(多分冗談)。
だが、この技術が非科学者、特にDTPにバックグラウンドを持つデザイナーやクリエイターの手に渡るにあたり、表現力にこだわった美しいページを作れる必要が出てきた。Håkon氏はHTMLの持つ構造の美しさに、見栄えの美しさを同居させたくなり、CSSを手がけることになったという。
だが知っての通り、CSSの普及は数々の困難を乗り越えなければならなかった。特にMicrosoftとNetscapeがインターネットの覇権を争っていたこの時期、Webがどの方向へ持っていかれるのか、だれもが不安を抱えていた。そうした時期にHåkon氏はOperaと出会い、さまざまなデバイスにWWWが広まることを期待してOperaに入社したそうである。
現在HTMLはHTML5という革命的な変化を遂げるバージョンに向けて歩みを始めいる。OperaはHTML5の策定にも深く関わっており、video要素などはOperaの提案なのだそうだ。これはテキストや画像がオープンスタンダードな方法でWebに公開できるのに対し、ビデオは各社の独自技術を使わざるを得ない現状に対してオープンスタンダードを提供するものとして提案された。video要素はコーデックの部分で足並みが揃っておらず、これからも決定に向けた努力を続けていくそうだ。
また、HTML5と並ぶ技術としてCSS3が紹介された。CSSにおいては、Webを美しく表現することが大事と考え、様々な要求を実現してきた歴史がある。角丸など、ただの見た目の問題ではあるが、制作者が必要とする表現であるので仕様に盛り込んできた。
こうして実現したCSS3では、Appleのサイトの有名なナビゲーション(画像で作られている)やOperaのロゴをCSSだけで再現するなど、聴衆を驚かせるデモも披露された。CSS3の実装はまだ各ブラウザともバグを残した状態。しかし早く実装し、どのブラウザも正しく表現できることが普及の道。Operaでは自社のブラウザの改良もさることながら、各社への呼びかけや啓発記事を配信するなどの努力を続けているという。これらの仕事は今後長い間Webが使われるから、とても大事な仕事であるのだと話している。長い間とは「500年」であるとHåkon氏は言っている。これはちょうど500年前にGutenbergが印刷技術を発明したことに引っ掛けたものである。Webは使いやすい技術であり、紙の本と同様500年後の人たちもきっと簡単に操作することができる。私たちが作り出したものを未来へと残していくために、オープンスタンダードが必要なのだと締めくくった。
続いてはCEOでありOperaの共同創設者のJon S. von Tetzchner氏。Operaのビジョンは「すべてのデバイス上で最高のインターネットを実現すること」だと言う。
Operaは元々リサーチラボで始まったプロジェクトがスピンアウトしたものであり、MicrosoftとNetscapeという2大企業が覇権を争う中、小さな会社がブラウザの開発をすることは正気の沙汰ではないと言われたという。そんなOperaは今では従業員規模750名の会社となり、2010年には1億5000万人以上のモバイルユーザ、5000万人のPCユーザに使われる製品となった。競争に勝ち残るために大企業は広告や大規模なキャンペーンを張ったりするが、Operaは小さな企業ゆえ、こうした戦略は取ることができず、ユーザからのフィードバックに応え、競争相手よりも早くいいものを出していくことで、シェアを広げてきたのだそうだ。
Operaの戦略はビジョンと深く結びついている。インターネットの普及率はアメリカが74%、アジアが17%、ヨーロッパが49%であり、南アメリカやアフリカではわずか数%となっている。Jon氏はこの数字を逆に読み、インターネットの潜在的ユーザは南アメリカやアフリカに多数いるのだと言う。こうした地域では日本のように固定式のブロードバンドが提供される可能性は非常に低い。ほとんどの場合、低機能な携帯電話からアクセスすることになるだろう。その場合、決してハイエンドでもない携帯電話でもOperaが動き、快適なインターネットを使えるという事実が非常に重要になってくるのだ。これは、制作者側もある程度のスクリーンや処理能力をあてにしたコンテンツやアプリケーション開発では新しいユーザに対応できない、と読むこともできる。
PCと携帯のWebは少し距離があったが、OperaはWebは一つだと言い続けてきた。現在Webはいろいろなところで使われており、Webの技術を使ってUIを作ったり、コントロールする使い方もできる。少し前まではOSの差異によって、OSがかわれば同じアプリケーションを使えないという問題があった。今はWebベースのアプリケーションやサービスが増えており、どんな機器を使っていても好きなものを使える。一方で携帯ではクローズドなエコシステムができつつあり、あれにもこれにも対応させないとならない状態になりつつある。
実際のところiPhoneのようなスマートフォン用のアプリケーションを作ったところで、スマートフォン自体のシェアは全携帯電話の中の13%しかないのだそうだ。この複雑な状況に開発者が取り組まなければならないのが現状であり、これに対抗するソリューションが「One Web」なのだ。Jon氏は開かれたオープンなプラットフォームの解がWebであり、プラットフォームとして十分でなければ、話し合って使えるプラットフォームに変え発展していくべきだと考える、と結論づけた。
最後のスピーカーは、Web Directions East LLC代表 の菊池 崇氏。菊池氏の集めたデータは興味深く、世界中のブログサイトやデザイナーなどからの情報の集計を発表してくれた.
かつて(といっても2年前)全ブラウザで同じ見栄えを求めていたため新技術の導入に躊躇する人が多かったのに対し、現在では古いブラウザで問題がなければ、積極的に新技術を利用する人が増えているのだという。これはインターネット機器の種類が増え、同じ見栄えを実現するのが不可能だと思うケースが増えたのではないかという分析である。また、CSS3の浸透によってCSSで使用するセレクタに属性セレクタやストラクチャルセレクタを採用する例が増えてきているのだろうだ。Webサイトを非PCに対応させる人が増えてきているともいい、現在のところ最適化の対象はiPhoneとandrioidであるとのこと。日本の事例が考慮されていないデータではあったが非常に面白い発表であった。
会場はデザイナーやWebデベロッパー会社の人と思われる人たちが多く、会社の仲間で見に来たといったグループがあちらこちらにみられた。こうした業界に身を置いていないことを寂しく感じつつも、HTML5やCSS3に本気で取り組んでみたいな、という思いを秘め六本木ヒルズを後にしたのであった。